真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～

広務さんは、私の手が自分の身体に触りたがっていることにすぐに気づいて、私の彼を求める仕草よりも速く私の髪に触れた。

スプリングが効いたベッドの上は、二人の男と女が微かに身動きを取っただけで大げさに軋んで、ゆったりとした恋心よりも先に愛欲を駆り立てた。

清楚な白いシーツの上で私達は、お互いの髪を優しく梳きながら、彼は私の露わになった肩に逞しい腕をクッションにするように抱いて、私は彼のトクトクと脈を打つ温かい首元を抱いた。

ベッドの上で、見下ろしながら、見下ろされながら、私達は、ほんの数センチの距離で見つめあった。それから、どちらからともなく微笑むと蜂蜜色の景色を塞ぐように、ゆっくりと唇を近づけた。

「ん......っ」

柔らかい唇ーータバコの味がしないキスで彼は私の迷いを絡め取っていく。

広務さんは、差し出した私の少し開いた唇を自らの上唇と下唇を開閉させながら軽く二、三度啄むと、そっと舌先を私の上唇の内側にあてた。

緩い曲線を描きながら、とろりとした舌先で上唇を舐めてから彼は私の舌を探して口唇の中へと入ってきた。

私は、求められるがままに彼と深いキスを交わし続けた。

「っ......はぁ......っっ」

吐息と”ちゅっ”という粘液を弾くキスの音がベッドの上で聞こえる。

その音は鼓膜に伝わって、鼓膜から脳内に広がって、気がつけば私は、いつの間にか先ほど脳裏の奥に沈ませた黒い感情を頭の外へ追い出していた。

「ねぇ、私のこと愛してる？」