真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
眠らない街のネオンの中でも、さすがに夜7時の暗さで人の顔を識別することは難しい。

それでも、すぐに彼だと分かったのは、特有の滑らかな日本語の発音と日本人離れした背丈。そして何より、彼のトレードマークである流れるようなブロンドが、歩くたびに風に揺れてネオンの残光に美しく煌めいていたから。

「ジーク......っ!」

突然の当事者の登場に私は豆鉄砲をくらったような顔をして息を詰まらせた。

かたやジークは何の躊躇もない様子で、急ぎ足で近づいてくる。

ジークの足取りが歩道橋を照らす街灯の照射範囲に入った時、ようやく彼の顔を認識出来た。

その顔は特別に改まった真剣な表情をしていた。

あの一夜以来、ジークは私に冗談を言ったり、気軽な話をすることがなくなった。

それを考えるとジークが私を抱いたことには、やっぱり火遊び以上の意味があると思ってしまう......。

ねぇ、ジーク。聞かせて......?

「クラクション鳴らしたけど、最初、優花全然気がつかなくて......。路上に車停めて追いかけてきた」

「......」

気持ちとは裏腹に言葉を詰まらせる私に、ジークはまるで生き急ぐように話続けた。

「こんなところに独りで、どうしたの? アイツは? 一緒じゃないの?」

ジークは私へ矢継ぎ早に質問をしながら、次第に表情を曇らせていった。

もしかして、心配してくれてるのーー?

「......うん。独り。広務さんは一緒じゃないよ......」

「......どうやって帰るつもりだったの? この時間じゃタクシーは、なかなか、つかまらないよ。 良かった、優花を見つけられて」

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