真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
ジークは私の目線まで腰を落とすと肩の方へ腕を回して、冷たい夜風から守るようにしながら語尾の下がった優しい言葉遣いで私を心配してくれた。

「行こう。家まで送るよ。......って、オレ達同じマンションだね」

ごく自然に彼は私の肩を抱き、車まで誘導するように、ゆっくりと歩き出した。

このシチュエーション、初めてじゃない。

あの時も、ジークは酔った私の肩を抱いて”一緒に家に帰ろう”と誘った。

そして、朧気な意識の中で、彼の誘いを断りきれなかった私は......。

「ジッ......ジーク、ちょっと待って......!」

私は二度も流されてはいけないと思い、肩に回された彼の腕を押し退けようと身をよじった。しかし、彼の長くて逞しい腕の前では抵抗することも虚しく、ジークはより強く私の肩を抱くと逃さないとばかりに、きつく抱き締めた。

「ダメだよ。こんなに身体が冷たくなってるのに......。これ以上、外にいたら優花、風邪引くよ。安心して、送るだけ。きちんと部屋まで送るから」

吹きっ晒しの寒空の中で唯一、まるで温室のような胸の温かさと、嘘とは思えない真剣な声音。

彼を信じてもいいよねーー?

家に帰るだけなんだし。そうじゃなくても、私が広務さんに罪悪感をいだく必要はなくなってしまった......。

なぜなら、広務さんは私以外の女性と会ってた......。

これからは、広務さんよりもジークを信用するべきなのかもしれない。

だって、そうでしょう?

何よりもジークは、お腹の赤ちゃんのパパなんだからーー。

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