真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
腕の中で私が小さく頷くとジークは寄り添うようにして私を温めながら、ゆっくりと歩き出した。

欧米人男性の彼と一般的な日本人女性の私では身長差が30センチ近くもあり、私に歩幅を合わせて歩いてくれるジークの歩きにくさを思うと、申し訳ない気持ちになった。

「歩きにくいでしょ......。私のことは気にせず、先に行って?」

「大丈夫。優花を風邪引かせるわけには行かないからね。それに、もうすぐ着くよ」

無理な体勢で私を見下ろしながら歩くこと数分、路上に止めた車まで着いたジークは、それまで肩に回していた腕を今度は背中に当てながら、もう片方の手で助手席のドアを開けてくれた。

「さぁ、乗って」

アメリカではレディーファーストは、ごくごく当たり前なのかもしれない。だけど、こんな風にスマートにエスコートされたら誰だって感激してしまう。

「ありがとう......」

私は、お礼を言いながら恥ずかしくて彼と視線を合わせられなかった。

それから私は借りてきた猫のように大人しく助手席に身を沈めて、バッグを膝の上に乗せた。そして気がついた。バッグの間口が、ずっと開きっぱなしだったことに......。

中を覗くと、さっきドラッグストアで買った妊娠検査薬が、はっきりと見える。

まさか......ジークに見られてないよね??

車まで一緒に歩いて来たとき、彼の背丈なら位置的に私のバッグの中が見えたはず。

心臓をドギマギさせながら黙って助手席に身を預けていると、ジークが、おもむろに切り出した。

「あのさ、さっき......」

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