真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

「真心と嘘」

麗らかな陽気が心地よい季節。

天から降り注ぐ輝きの下、生きとし生ける緑の中に築かれたアーチのチャペル。

たなびくベールと、香るブーケは花嫁の証。

膨らみ始めた、お腹を繭のように包み込む純白のウエディングドレスは、甘い春風に”ふわり”と揺れた。 

「体調は大丈夫? 安定期に入ったからって、無理しちゃだめだよ」

妊娠5ヶ月の身体を気遣う彼の優しさに改めて、この人を生涯の伴侶に選んで本当に良かったと思った。

「お腹触って。動いてるの分かる? ねっ、母子ともに健康でしょっ」

優しい笑顔を浮かべながら、お腹越しに赤ちゃんを撫でる彼の右手に私の右手が重なる。反対側の左手には、もうすぐ永遠の愛を象徴する結婚指輪が施される。

やがて、揃いの結婚指輪をはめて誓いのキスを交わすと、清々しいスプリングガーデンに祝福のウエディングベルが鳴り響いた。

その音は次第に大きくなってーー。

「......ん......?」

鳴り響いていたのはウエディングベルではなく、スマホの、けたたましいアラームだった。

私は起き抜けの冴えない頭に苛立ちを覚えながら、枕元に置いてあるスマホを鬱陶しそうにスクロールした。

アラームを止めてもスマホは一向に大人しくならず、何色ものランプを点滅させて私へ、ありとあらゆるアクセス方法で連絡があったことを知らせていた。

LINE、メール、電話......。それらの全てのコンタクトに一切応答しなかった私へ、彼は留守番電話でメッセージを残していた。

「俺と話したくないのなら、着信だけで構いません。優花の身が心配です......」

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