真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
嘘だと思いたい。

でも、ジークが嘘をついているとは決して思えない。

留守番電話に残された私を心配する広務さんの沈んだ声......。その声さえも、彼が今まで私に向けてくれた笑顔も優しく抱きしめてくれたことも、キスも......。全部見せかけだっていうの......??

どうしよう......、また涙がこぼれそう。これから、仕事なのに......。

私は今にも心を壊されそうな胸の痛みを理性で覆い、食欲はないけれど今日1日を乗り切るために仕方なく朝食の準備を始めた。

そして出来上がったのは、野菜サラダにオムレツ。それから、コンソメスープ。

このメニューは広務さんと結ばれた翌朝、いつも朝食を抜いているという彼に、少しでも栄養のあるもを食べてもらいたくて作ったものと同じだった。

彼と一緒に食べた時は、あんなに美味しく感じた料理が、今朝は全く味がしなかった。それよりも食べること自体に苦痛を感じた。

朝食を胃に無理やり押し込んだ私は、汚れた皿をテーブルに残したまま、ダイニングキッチンを後にした。

こういう”ずぼら”なことをしてしまうのは、出社前は時間が無いから仕方がないと、昨日までは、そう言い訳をしていた。

だけど、今朝は致命的に、片付ける気力がなかった......。

今日、目覚めてからどんなに体を動かしても、気持ちはずっと重く沈んだまま、その場から動かない。胸の中では、ずっと同じことを思い続けている。

一体、私は広務さんからのメッセージに、どう応えればいいんだろう......?

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