真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
出社準備を終えて家を出ても、エレベーターに乗っていても、心の中は常に広務さんとのことで、いっぱいだった。
だから、エントランスでジークが私を待っていたことには全く気がつかなかった。
「おはよう!」
突然後ろから男の人に声をかけられて、驚いた私は体が一瞬ビクッと引き上がった。
「ごめん、驚かせて。 優花、オレに気づかないで、どんどん先へ進んで行ってしまうから、つい大きな声で引き止めてしまった......」
濃紺でストライプのスリーピーススーツを爽やかに着こなしたジークは、今日も王子様のようなオーラを全身に纏いながら、その完璧な姿に似つかわしくない覇気のない声で私を驚かせたことを謝ってきた。
「おっ、おはよう。ごめんね。ちょっとボーッとしてた......」
「昨日は、きちんと眠れた?」
私は質問に答えずに黙って俯いた。
するとジークは又しても覇気のない声で心配そうに聞いてきた。
「......朝ごはんは食べた?」
「うん。食べたよ......」
心配してくれるのは、ありがたいけれど......、嬉しいという気持ちにはならなかった。
むしろ、触れられたくないと思った。
そんなこと思ってはいけないのだけれど......。
なにしろ、これから私が一緒にいるべき男(ひと)は、きっとジークなんだから......。
「優花を一人にしておくの、オレすごく心配なんだ......。ねぇ、今夜一緒にディナーどうかな?」
「......考えとくね。もう、行かなきゃ。電車に乗り遅れちゃう」
これ以上踏み込まれたくなかった私は、その場しのぎの曖昧な返事を残して、ジークに背中を向けた。
「会社まで送って行くよ!」
「ありがとう。あ、でもっ! ジークの会社、反対方向でしょっ、遠回りさせるの悪いから......っ」
私は逃げるように彼を遠ざけた。
「あっ! 優花っ、待って......っ!」
悪いと思いながらも、至近距離で話すジークの声が聞こえないふりをしながら、私は最寄駅目指して歩き続けた。
だから、エントランスでジークが私を待っていたことには全く気がつかなかった。
「おはよう!」
突然後ろから男の人に声をかけられて、驚いた私は体が一瞬ビクッと引き上がった。
「ごめん、驚かせて。 優花、オレに気づかないで、どんどん先へ進んで行ってしまうから、つい大きな声で引き止めてしまった......」
濃紺でストライプのスリーピーススーツを爽やかに着こなしたジークは、今日も王子様のようなオーラを全身に纏いながら、その完璧な姿に似つかわしくない覇気のない声で私を驚かせたことを謝ってきた。
「おっ、おはよう。ごめんね。ちょっとボーッとしてた......」
「昨日は、きちんと眠れた?」
私は質問に答えずに黙って俯いた。
するとジークは又しても覇気のない声で心配そうに聞いてきた。
「......朝ごはんは食べた?」
「うん。食べたよ......」
心配してくれるのは、ありがたいけれど......、嬉しいという気持ちにはならなかった。
むしろ、触れられたくないと思った。
そんなこと思ってはいけないのだけれど......。
なにしろ、これから私が一緒にいるべき男(ひと)は、きっとジークなんだから......。
「優花を一人にしておくの、オレすごく心配なんだ......。ねぇ、今夜一緒にディナーどうかな?」
「......考えとくね。もう、行かなきゃ。電車に乗り遅れちゃう」
これ以上踏み込まれたくなかった私は、その場しのぎの曖昧な返事を残して、ジークに背中を向けた。
「会社まで送って行くよ!」
「ありがとう。あ、でもっ! ジークの会社、反対方向でしょっ、遠回りさせるの悪いから......っ」
私は逃げるように彼を遠ざけた。
「あっ! 優花っ、待って......っ!」
悪いと思いながらも、至近距離で話すジークの声が聞こえないふりをしながら、私は最寄駅目指して歩き続けた。