真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
約二時間ほどで飲み会は御開きとなり、実加と横澤さんをバルの店先で見送った広務さんと私は、ネオンに囲まれた都会の街並から離れるように、人気の少ない住宅街の方向へ歩いていた。

大通りから外れると車道を走る車の流れは、まばらで歩道と道路の境目も曖昧だ。そんな歩行者優先の場所ですら、広務さんは常に車道側を歩いて私を気遣ってくれた。

それなのに、こんなに狭い道を二人で並んで歩いていても、ましてや人通りも少ないというのに、時々お互いの手がそっと触れ合っても彼は私と手を繋がなかった。

バルにいた時に、あんなに身を寄せて肩を抱いてきたのは、お酒に酔っていたからだろうか?

二人きりなのに、何も触れてこないのは、私にはもう愛情がないからだろうか?

そもそも、彼が今日私に会いに来たのは、何か話があってのことだった......。

モヤモヤとした不安に駆られながら彼の隣を黙って歩いていると、車道を一台の車が、ゆっくりと通って夜風をスーッと巻き上げた。

「酔い覚ましには丁度いいね。冷たい風が気持ちいい。俺は結構呑んだけど、優花は一度も酒頼まなかったね。やっぱり、今日は体調良くないんじゃない?......俺のせいだね。ごめん......」

「え......!?」

「こないだのこと、本当にごめんね......!優花を無理やり抱こうとしたこと。俺、モルガンに嫉妬してた。全部、奴の口から出任せだって事は分かってるのに。情けないよな......。でも、もう耐えられない。モルガンの隣で優花が暮らすのは。優花に、その気が無くても、奴が強引に襲ってこないか心配だ。俺、優花がモルガンに何かされたら、その時は本当に......!優花、もう、すぐに。俺と一緒に暮らそう」

< 170 / 315 >

この作品をシェア

pagetop