真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
胸元に手を当てて、スーツの内ポケットにしまった、エンゲージリングの存在を何度も確かめた。

薬指にダイヤモンドを纏った彼女の華々しい笑顔を青空のキャンバスに描きながら、窓の外を眺めていると、やがて高度の下がった飛行機の窓辺に、真綿のような白い雲が幾つも現れた。

もうすぐ、日本に着く。

飛行機の空港到着時刻は午後1時。その時間、彼女はまだ勤務中。一度マンションへ帰って荷物を置き着替えてから彼女を会社まで迎えに行く......。

一生に一度のプロポーズだ。特別な日に相応しい装いで迎えたい。

深紅のバラ、夜景が見えるレストラン、サプライズ用のアニバーサリーケーキーー。

今夜、彼女と過ごす時間をシュミレーションすると胸の鼓動が速くなる。

まるで子供のように。気持ちをはやらせる自分に羞恥心と嬉しさを感じながら、それでも大人の男を気取りたい俺は、気持ちを落ち着かせようと深く息を吸い込んだ。その時、機内に着陸を知らせるアナウンスが流れた。

「Ladies and Gentlemen, we have arrived at......」

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