真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
約一時間ほどタクシーに乗り、自宅マンションへと帰ってきた俺は、ひとまずキャリーケースを玄関先へ置いて久しぶりの我が家へと足を踏み入れた。

何せ数ヶ月間無人で掃除をしていないものだから、埃はもとより空気そのものが淀んでいるに違いない。

まずは換気から。窓を開けるため、リビングを目指して廊下を進む度に、なぜか不思議と空気が清浄に感じられた。それから、どことなく爽快な香りが漂っていた。

もしかして......?

ニューヨークへ旅立つ前、彼女に渡した合鍵。

俺が留守の間も優花は、ここへ来て、空気の入れ替えや掃除をしてくれていたんだ。

埃っぽいはずの空気は3ヶ月前に、この部屋を後にした時と同じく、透明感を保っていて、リビングの隅には湿気取りと芳香剤が目立たないように置かれていた。

その二つの生活雑貨の存在に、彼女が一生懸命に掃除をしてくれている姿が目に浮かんで嬉しさと愛おしさで胸が熱くなった。

優花、早く君を迎えに行かないとーー。

今まで、寂しい思いをさせて本当に、ごめん......。

でも、それも昨日で終わり。

今夜からは、彼氏と彼女ではなく。夫婦としての絆を二人で始めよう。

そのうち、俺達の間には子供が出来て......。そうしたら、このマンションを手放して、家族で住む家を建てて、そうこうしているうちに、又家族が増えて......、子供は何人でも欲しいーー。

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