真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「こんなオシャレな、お店っ......!」
レストランに着くと、あまりの高級感溢れる雰囲気に優花は驚いて目を丸くした。
中心部の五つ星ホテルの最上階にかまえる、高級フレンチレストラン。ライトアップされた大都会のランドマークが間近にそびえる、この場所からの眺めは180度の夜景のスクリーン。
店の奥に、きらびやかに広がった大都会ならではの夜のイリュージョンに、すっかり心を奪われた彼女は、まるで少女のように純真に瞳を輝かせた。
住み慣れている街のもう一つの顔を知って、その美しさに無邪気に胸をおどらせる彼女が、あまりにもかわいくて、俺は後ろから抱きしめたい衝動を抑えながら代わりに優しく肩を抱いた。
「今日は特別な日だからね......」
彼女の肩を抱いて店の中へ足を踏み入れた時、プロポーズを予感させるような言葉を囁くも、優花は事情が飲み込めないといった感じで、曖昧な笑顔を見せた。
明らかに。頭の中に「?」が浮かんでいる彼女の笑顔に見入った矢先、メートル・ディから声がかかった。
「いらっしゃいませ。ご予約の、お名前をお伺い致します」
「成瀬です」
「成瀬様、お待ちしておりました。お席へ、ご案内致します」
メートル・ディを先導に二人で予約の席へ向かう。そのタイミングで......、
「あっ、財布車の中に忘れたっ......」
よりによって高級フレンチレストランで、こんな失態を犯すなど男として一生分の恥も同然......。しかしーーこれは、ちょっとした演出。
「ごめん、すぐ戻るよっ」
俺は財布を忘れたフリをして、トランクにしまったバラの花束を取りに車へ戻った。このことは事前にレストラン側へ伝えてあるので、メートル・ディも快く送り出してくれた。
「ごめんっ、待たせてしまったね......」
「ううん、大丈夫。珍しいね、広務さんが忘れ物なんてっ」
確かに。俺は普段、忘れものは滅多にしないほうだと思う。人からはよく、万事に抜け目がないとか、用意周到、隙が無い......などと言われることが多い。いわゆる”堅い奴”の俺が珍しく忘れものをしたことが優花は面白かったらしく、今日一番の朗らかで自然な笑顔を見せてくれた。
レストランに着くと、あまりの高級感溢れる雰囲気に優花は驚いて目を丸くした。
中心部の五つ星ホテルの最上階にかまえる、高級フレンチレストラン。ライトアップされた大都会のランドマークが間近にそびえる、この場所からの眺めは180度の夜景のスクリーン。
店の奥に、きらびやかに広がった大都会ならではの夜のイリュージョンに、すっかり心を奪われた彼女は、まるで少女のように純真に瞳を輝かせた。
住み慣れている街のもう一つの顔を知って、その美しさに無邪気に胸をおどらせる彼女が、あまりにもかわいくて、俺は後ろから抱きしめたい衝動を抑えながら代わりに優しく肩を抱いた。
「今日は特別な日だからね......」
彼女の肩を抱いて店の中へ足を踏み入れた時、プロポーズを予感させるような言葉を囁くも、優花は事情が飲み込めないといった感じで、曖昧な笑顔を見せた。
明らかに。頭の中に「?」が浮かんでいる彼女の笑顔に見入った矢先、メートル・ディから声がかかった。
「いらっしゃいませ。ご予約の、お名前をお伺い致します」
「成瀬です」
「成瀬様、お待ちしておりました。お席へ、ご案内致します」
メートル・ディを先導に二人で予約の席へ向かう。そのタイミングで......、
「あっ、財布車の中に忘れたっ......」
よりによって高級フレンチレストランで、こんな失態を犯すなど男として一生分の恥も同然......。しかしーーこれは、ちょっとした演出。
「ごめん、すぐ戻るよっ」
俺は財布を忘れたフリをして、トランクにしまったバラの花束を取りに車へ戻った。このことは事前にレストラン側へ伝えてあるので、メートル・ディも快く送り出してくれた。
「ごめんっ、待たせてしまったね......」
「ううん、大丈夫。珍しいね、広務さんが忘れ物なんてっ」
確かに。俺は普段、忘れものは滅多にしないほうだと思う。人からはよく、万事に抜け目がないとか、用意周到、隙が無い......などと言われることが多い。いわゆる”堅い奴”の俺が珍しく忘れものをしたことが優花は面白かったらしく、今日一番の朗らかで自然な笑顔を見せてくれた。