真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
実加と横澤さんが付き合っていると知った以上、なんとなく気になってしまう二人のやりとり。

わざとじゃなく、仕事中不意に二人の2ショットが目に入った。
 
朝、私と話した時は表情ひとつ変えなかった横澤さんが、実加と話している時は別人かと思うほど優しい顔をしていた。

そして実加も普段は他の社員に対してハキハキとした受け答えをしているけれど横澤さんに対しては、なんだか汐らしい。

誰もが好きな相手に対しては自然と、優しく柔らかくなるものだ。

実加と横澤さんを見ていると、お互いに想い合っているのがよく分かる。

私はそんな二人の様子が羨ましくも、ほのぼのとした。

それから、広務さんにとても会いたくなった......。

広務さん、LINE読んでくれたかな? 


終業後。これからデートだと言って、実加はパタンッとノートパソコンを閉じると手早く退社の準備をして、いそいそとオフィスを後にした。

実加が退社した10分後に。今度は横澤さんが、おもむろに退社の準備を始めた。彼は最後にノートパソコンを静かに閉じて、颯爽とオフィスを後にした。

そっか。横澤さんが今日あんなに朝早くから仕事をしていたのは実加とのデートのためだったんだ。

横澤さんは残業でデートがキャンセルにならないように、いつもは残業して片付けてる仕事を朝やってたんだ。

......実加、愛されてるなぁ。

ラブラブな恋人同士を目の当たりにして、余計に広務さんが恋しくなってしまった私は無意識にバッグからスマホを取り出していた。

ランチタイムに送ったLINEの返事来てるかな......?

いや、まだ仕事してるかも。

せめて既読になってれば......。

右手に握りしめたスマホに目を当てた時、確かに光った緑色のランプ。

それに反応してドキドキと脈打ち始めた私の鼓動。

平静を装ってスクロールしたスマホに表示されたメッセージに、私は笑みが溢れた。

「おつかれさまです。優花さんからのLINE、今ようやく読むことができました。俺はこれからもうひと頑張りですが、優花さんはお仕事終わりましたか?どうぞ楽しいアフター6をお過ごしください......。またLINEしますね」

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