真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
広務さんと別れてジークと結婚するーー。

理屈だけで行動すれば簡単に事は運ぶ......。だけど、そう単純な話ではない。

広務さんから同棲を提案され、ジークからプロポーズをされて三日が経った。

私は二人の男性への返事を宙に浮かせたまま、週末を迎えた。

「昼過ぎ頃から雪となるでしょう」

土曜日の朝にニュースを見ることなんて滅多にない。

週末はいつも、この時間はまだ眠っている。

恋人がいる身分なら、週末も早めに起きてシャワーを浴びて身綺麗にして、メイクをして、ヘアスタイルがバッチリ決まった頃、彼が車で迎えに来て......。

そして、二人が揃ったら、人ごみで溢れかえるコンクリート製の風景にさよならをして、遮るものが何もない青空のパノラマと清風に揺れる緑の海を見に行く。

......そんな日々が訪ずれるものと信じていた。

広務さんと付き合い始めて3ヶ月。週末の朝にカーテンを思いっきり開けて生まれたての太陽の光を浴びながら、いそいそとデートの支度を始める。

そういう経験は、ほとんどない。

多忙を極める私の恋人は、平日週末問わず仕事に追われて、デートは、もっぱら夕方からか、彼の出張帰り......。

それなのに。週末の今日、この時間から、こうして身支度を整えているのは断じてデートなどではなく、病院に行くため。

今まで私は妊娠の兆候があるにもかかわらず、きちんと病院で検査を受けていなかった......。

妊娠の事実を受け入れる覚悟を決めたと言っておきながら、今まで、そのことから逃げ続けていた。

でも、ジークがはっきりと「好きだ」と言ってくれたことで、ようやく先に進む決心がついた。

私が子供の頃から、ずっと求めていたもの、それは”温かい家庭”

ジークが私の、お腹に宿る赤ちゃんを自分の子だと認めてくれて、尚且つ私自身を愛してくれているのなら、惰性ではない本当の家族が作れる。そう思った......。

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