真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
ーー産婦人科の帰りの道は、みぞれを降らす暗雲の空だった。

朝の天気予報で昼頃から雪と言っていたのを聞いていたにもかかわらず、傘を忘れた私はマフラーで頭を覆い、雨粒が鋭く跳ね返る凸凹のアスファルトをとぼとぼと歩いた。

荒い舗装の道路に所々出来ている大小の水たまりを避けながら、傘を売っている洋品店に立ち寄って、軒先きに一本500円で売られていた白いドット柄のビニール傘を買った。

雨が当たらない環境が出来たところで、私はジークに診察の結果を話すためLINEを送ろうと、バッグからスマホを取り出した。

画面をタップしてスマホを起動させると、画面上部に小さくLINEアプリのマークが表示されて、私が産婦人科にいる間に誰かがメッセージを送ってきたことを教えていた。

そういえば......、私。朝、広務さんから送られてきたLINEに返信してない......。

それから、彼とは明日から一緒に住む運びになったままーー。

LINEの送り主は、広務さん? それとも、ジーク?

私は息を飲んで、恐る恐るLINEを開いた。

「今、仕事終わったとこ。優花、今どこ? 何時頃会える? 取り急ぎ話したいことがあるんだ」

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