真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
薄暗い錆色の街で白亜の息を吐きながら、私は彼の到着を待った。

随分昔に舗装されて以来、それから今日の今日まで放って置かれた歪なアスファルトの窪に出来た水溜り。それは、時折車が通ると、まるで自分の存在価値を示すかのように大きく、涙型の雫を路肩まで飛ばして私の足元を汚した。

つま先が震えているのは、寒さのせいでは決してない。

「今どの辺りだろう......」

私は無意識に独り言をつぶやいたことに気がついた後、相変わらずの寂れた情景にため息を漏らしながら、何台目かはわからない、こっちへ向かってくる車を見据えた。

どうせ、また、あの車も水溜りに乗り上げて私の足元を汚すんだ。

私は、もう何度も水をかぶった足元に一瞬目を落とすと、雫を避けることを諦めた。

車の走行スピードからするとものの数秒間。それなのに、足元は一向に雫を浴びない。

それどころか、凶暴であるはずの車は次第に速度を緩めて、やがて水溜りの手前で止まった。

黄昏時の雨の中、オレンジ色に点滅を繰り返すハザードランプの灯りは実に頼もしい。

ブルーグレーの景色の中に置かれた、真っ白なセダンの運転席がスマートに開かれた姿に、一瞬息が止まった。

「早く乗って! 風邪引くーー」

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