真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
初デートの帰り道、彼と私はサラサラと川のせせらぎが聞こえる夜の河川敷を並んで歩いていた。
夏の夜風は気だるさの中に、か細い清涼感が見え隠れして妙にセンチメンタルな気分を誘ったーー。
「日野さんは、花火好きですか?」
不意に彼が私に聞いてきた。
夏の河川敷と言って思い浮かぶものは花火。
「好きですよ。学生の頃は毎年、友達と花火大会を見に行ってました。でも今は、仲良い子達みんな。結婚したり彼氏がいたりして......、ここ何年も行ってないです」
私はそう言うと、左肩にかけたバッグの持ち手を掴んでいた右手を、彼の左手と隣り合うようにスッと下ろした。
「俺も。花火大会は何年も見に行ってないです」
彼と私の手は意識しなければ、自然と触れ合う距離だった。
彼と私の手が触れ合わないということは。意識的に、彼が私の手に触れないようにしているということだ。
ーー彼と私の間に沈黙が流れた。
痺れを切らした私は、自分から切り出した。
「成瀬さんは、花火好きですか......?」
「ええ、好きですよ」
彼は、すかさずそう答えて私の右手と今にも触れ合いそうな自分の左手を胸の位置まで持っていき腕組みをした。
彼が腕組みをしたのを見届けた私は、この時思った。
もう二度と。彼と会うことはないだろう。
”この人もダメか......。”
”次に会える人探さなきゃ......。”
そう思い。帰宅後パソコンの前に座って結婚相談所のホームページを開いた時、スマホのご機嫌な着信音が鳴った。
彼からのLINEだったーー。
「今度、俺の地元で花火大会があるんですけど。一緒に観に行きませんか??」
夏の夜風は気だるさの中に、か細い清涼感が見え隠れして妙にセンチメンタルな気分を誘ったーー。
「日野さんは、花火好きですか?」
不意に彼が私に聞いてきた。
夏の河川敷と言って思い浮かぶものは花火。
「好きですよ。学生の頃は毎年、友達と花火大会を見に行ってました。でも今は、仲良い子達みんな。結婚したり彼氏がいたりして......、ここ何年も行ってないです」
私はそう言うと、左肩にかけたバッグの持ち手を掴んでいた右手を、彼の左手と隣り合うようにスッと下ろした。
「俺も。花火大会は何年も見に行ってないです」
彼と私の手は意識しなければ、自然と触れ合う距離だった。
彼と私の手が触れ合わないということは。意識的に、彼が私の手に触れないようにしているということだ。
ーー彼と私の間に沈黙が流れた。
痺れを切らした私は、自分から切り出した。
「成瀬さんは、花火好きですか......?」
「ええ、好きですよ」
彼は、すかさずそう答えて私の右手と今にも触れ合いそうな自分の左手を胸の位置まで持っていき腕組みをした。
彼が腕組みをしたのを見届けた私は、この時思った。
もう二度と。彼と会うことはないだろう。
”この人もダメか......。”
”次に会える人探さなきゃ......。”
そう思い。帰宅後パソコンの前に座って結婚相談所のホームページを開いた時、スマホのご機嫌な着信音が鳴った。
彼からのLINEだったーー。
「今度、俺の地元で花火大会があるんですけど。一緒に観に行きませんか??」