真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～

自宅マンションに戻ると、ひたすらに現実を凝視する時間になった。

生活感溢れる雑然とした部屋ーー。整理整頓の追いついていない様子は、まさしく広務さんとジークという二人の男性と私との、未だに着地点の定まっていない中途半端な関係と類似していた。

それなのに、私は片付ける気など全く起きなくて、帰宅早々ソファに、だらりと身を預けた。

しばらく虚ろな眼差しで向かいのローテーブルの一点を見つめていると、静まり返った室内に来客を知らせるインターホンの音が鳴り響いた。

ーー広務さんか、ジークだ。

直感的にそう思った私は、将来の答えを、この瞬間に求めようと決めた。

「良かった。　会えて.......」

哀愁を纏った笑顔に、らしくない疲れた瞳に微かに滲んだ雫。

男の涙には女を惑わす媚薬が含まれているらしい。あながち、それは嘘じゃないかもしれない.......。

「心配した......！！　何度かけても全然電話繋がらないし、何回部屋を訪ねても、優花は出てこない.......。　もしかして、事故にでも遭ったんじゃないかって.......！！」

「広務さん......」

そう言いかけた瞬間、身体を激しく引き寄せられて強く抱きしめられたーー。

「ごめん......、ごめんね広務さん」

きつく抱き締められる度に熱い胸に顔を埋められて、いつもより深く感じるマリンシトラスの香り。

「......明日、朝一番の便で、ニューヨークへ発つ」