真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~

「真心の愛を君に......」

この指輪をどうしようーー。

スクロールすると3ヶ月前に広務さんから送られてきたLINEが、はっきりと残っている。

”一生に一度のプレゼント”

それは、このエンゲージリングのこと。

私は今夜贈られたばかりのエンゲージリングを左手の薬指にはめずに、テーブルの上に置いて、どちらかというと神妙な面持ちで眺めていた。

どこまでも澄み切っているブリリアントカットのダイヤモンド。その内部の芯の芯まで覗き込んでも一向に私の未来は見通せなかった。

「信じてたけど。やっぱり、プロポーズ受けてもらえて、すごく嬉しいよ。ありがとう、優花。近いうちに俺の両親に会ってほしい」

相変わらずの誠実なメッセージ。出会い、告白、プロポーズ......。全ては順番通り。広務さんは一段も踏み外すことなく思惑通りの人生を歩んでいる。

これから私が広務さんの、ご両親と、お会いして彼と結婚すれば、彼にとっては結婚という任務を達成したことになる。

広務さんにとって結婚は任務にしか過ぎないのだから、私は彼にとって、ただの駒にすぎない.......。

私はLINEの画面を開きっぱなしにしたまま、テーブルに転がるエンゲージリングを見つめて、どこまでも悲愴な未来を心の中で作り上げていた。

妄想が加速すること数十分。ふとスマホの時計を見ると、もう午後の11時を記していた。

私は広務さんに返信できないままに、メイクを落としてから着替えをしてーー午前0時過ぎにベッドへ潜り込んだ。そうしていつの間にか眠ってしまい、いつものけたたましいアラーム音で目を覚ました。

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