真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
自分で決断した道が、これほどまでに辛いものだなんて......。
締め付けられるように胸が苦しくて、なのに、この胸の痛みは、どうしたって傍目には分からない。
姿見に映る自分は見慣れた出社前の私だ。
鏡越しに映ったテレビのデジタル時計は午前7時45分。いい加減、部屋を出ないと遅刻する。
私はリビングのローテーブルに無造作に置いておいた会社用のバッグを乱雑に持ち上げた。と、同時に”コトンッ”という乾いた音が聞こえた。
その儚い音に呼び止められて、私は遅刻寸前にもかかわらず、その場で身動きが取れなくなり一瞬時間を止めた。
長い長い瞬間の錯綜する思考の中心を占めていたもの、それは、払拭しきれていない広務さんへの想いだった。この気持ちが単なる情なのか、それとも執着なのか、それともまた別のものなのか、断定するには時間が足りなさすぎる。
私は瞳に映ったエンゲージリングに見切りをつけて、大至急玄関へと向かった。
このマンションのオートロックの扉は重く、慎重に閉めないと割合に大きな音が出る。私は急ぎ過ぎていたあまりに乱暴に扉を閉めてしまい、とんでもなく大きな音を出してしまった。
自分の出した音に驚いて思わず辺りを見回す。
すると、すぐ隣に目を丸くして私を見据える男性の姿があった。
「おはよう。随分、元気がいいね」
まさか、このタイミングで......。
「お、おはよう。ジーク......。今日は早いんだね。いつもは10時頃会社へ行くでしょ......?」
「うん、今日は特別。午前中から会議があってね」
なし崩し的に連れ立って歩き、取り留めのない会話を交わしながら揃ってエレベーターへ乗り込む。
こういうシーンは今まで何度もあった。でも、それは夜の時間にーー。
ジークと私の仲は広務さんがニューヨークへ行っている3ヶ月の間、劇的に変化していた。
「じゃあ、又仕事終わったら、連絡するから」
締め付けられるように胸が苦しくて、なのに、この胸の痛みは、どうしたって傍目には分からない。
姿見に映る自分は見慣れた出社前の私だ。
鏡越しに映ったテレビのデジタル時計は午前7時45分。いい加減、部屋を出ないと遅刻する。
私はリビングのローテーブルに無造作に置いておいた会社用のバッグを乱雑に持ち上げた。と、同時に”コトンッ”という乾いた音が聞こえた。
その儚い音に呼び止められて、私は遅刻寸前にもかかわらず、その場で身動きが取れなくなり一瞬時間を止めた。
長い長い瞬間の錯綜する思考の中心を占めていたもの、それは、払拭しきれていない広務さんへの想いだった。この気持ちが単なる情なのか、それとも執着なのか、それともまた別のものなのか、断定するには時間が足りなさすぎる。
私は瞳に映ったエンゲージリングに見切りをつけて、大至急玄関へと向かった。
このマンションのオートロックの扉は重く、慎重に閉めないと割合に大きな音が出る。私は急ぎ過ぎていたあまりに乱暴に扉を閉めてしまい、とんでもなく大きな音を出してしまった。
自分の出した音に驚いて思わず辺りを見回す。
すると、すぐ隣に目を丸くして私を見据える男性の姿があった。
「おはよう。随分、元気がいいね」
まさか、このタイミングで......。
「お、おはよう。ジーク......。今日は早いんだね。いつもは10時頃会社へ行くでしょ......?」
「うん、今日は特別。午前中から会議があってね」
なし崩し的に連れ立って歩き、取り留めのない会話を交わしながら揃ってエレベーターへ乗り込む。
こういうシーンは今まで何度もあった。でも、それは夜の時間にーー。
ジークと私の仲は広務さんがニューヨークへ行っている3ヶ月の間、劇的に変化していた。
「じゃあ、又仕事終わったら、連絡するから」