真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
私は息も絶え絶えに苦悶の表情を浮かべて彼を一見した。

すると彼も同じように眉頭を歪ませて私を見つめていた。

「ごめんね。今朝送られてきたLINE、ようやくさっき読むことができて.......。何かあったの?なんだか、ただ事じゃない気がして仕事切り上げて直接、優花の所に来たんだ」

広務さんはそう言いながら私のそばに来て、少し脱力している背中を優しくさすってくれた。

白いシャツに濃紺のスーツ。それからノートパソコンと書類の入った、重たそうなビジネスバッグ。見るからに仕事の出来そうなビジネスマンの出で立ちの彼が、腰を屈めて私のような特段華のない女の介抱をしていることを申し訳なく思った。

以前の私なら、こんな風に思うことはなかった。ただ広務さんの優しさに甘えて溺れていた。

それだけ彼に気を許していたし、信頼していた。でも、今は彼の行動を素直に愛情だと受け取れない。

「広務さん、大丈夫。ありがとう」

私は背中をさする彼の手から離れて姿勢を正した。

そして視線を合わせると、広務さんは明らかに自分の知っている私ではないと、違和感を覚えたようで.......少し寂しい顔をしていた。

どうして、そんな顔するの.......?

それに、わざわざ仕事を切り上げて会いに来てくれたって......。

心の中で混乱が生まれて行く。

広務さんにとって私との結婚は人生の一コマに過ぎなくて、彼が本当に求めている女性はーー。

「広務さん。せっかく来てくれたのに、ごめんなさい。外で話せない?」

束の間の回想に終止符を打ったのは、記憶に焼きついた彼女の存在だった。

「私、一度部屋に戻って着替えて来てもいい?」

「......うん、分かったよ」

いつになく捲し立てるような話し方をする私に広務さんは、いかがわしい眼差しを向けつつも渋々了承してくれ、彼をエントランスに待たせて私は部屋へと戻った。

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