真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～

暗闇の中で目を覚ました。

......もう何度目だ？

過ぎたこと、過ぎたことーー。そう自分に言い聞かせれば聞かせるほどに、夢の中の彼女はより美しく現れて、何度も俺の胸をかき乱す。

そうして眠れないままに朝を迎えて、そのうち俺は日本から遠く離れたこの場所の喧騒に今日も飲み込まれて行く。

優花の夢を見て、まだ夜明け前だというのに覚醒してしまった俺は、ベッドから起き上がり寝室のカーテンを開けた。

高層階の窓一面に広がるのはニューヨークーーマンハッタンの夜景。その一つ一つの、どの灯りを尋ねても、彼女へは辿り着けない。

２年経った今でも鮮明に覚えている。彼女から別れを告げられた冬の夜のセピア色の街灯。

「本当に、最後なの？」

「......うん」

幕引きは実にあっけないものだった。

優花はたった二言で、俺の前から去って行ってしまった。

彼女と出会ったのは結婚相談所の紹介だった。だから、交際終了の理由をわざわざ当人に伝える必要は無い。後日、結婚相談所の方から連絡が来て、相手側が交際終了の意思に至った経緯を伝えられる。

「結婚情報サービス。エージェントパートナーですが......」

優花と別れて二日後、登録している結婚相談所のカウンセラーから連絡が来た。

内容は優花から俺に交際終了の意思を伝えた。ということと、彼女が俺と交際を終了したいと考えた理由についてだった。

「成瀬さんは、優花さんにとって学歴も年収も希望条件以上のものをお持ちです。ですが、条件以上に彼女が重要視したのは、一緒にいる時間だったそうです」

「もう一度、彼女と会うこうとはできませんか？」

俺はカウンセラーの話を遮り、言葉を被せた。

「......優花さんと、再度お引き合わせすることは出来ません」