真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
彼女の問いかけに淡い期待を抱いてしまった自分がいた。

「......はい。私は日本人ですが.......」

「では、ポート・ユニバース・インターナショナルの成瀬部長で、いらっしゃいますね」

「はい。そうです」

度重なる問いかけに、電話口の彼女が明らかに俺の素性を明確に知りたがっている。そう感じて期待が高まった。

本当に、優花なのかーー?

「あの.......」

俺は意を決して口を開いた。

「はい?......あっ、これは不躾な質問を大変失礼いたしました。村井より、ポート・ユニバース・インターナショナルの成瀬部長は日本人の方だと伺っておりまして、ご連絡をいただき次第、お繋ぎするように言われておりましたので」

的外れな応えと事務的な口調。答えはノー、電話口の女性は優花ではなかった。

そりゃあ、そうだよな......。何を期待してたんだ俺.......。

一瞬の期待感が打って変わって羞恥心になり、そのあとに、強い寂しさが込み上げてきた。

自分は2年前の冬から何も変わっていないと思い知らされた。

優花、君は今どうしてる?俺のことを思い出すことは、あるんだろうか?

......俺は、君に会いたい。

「もしもし、お電話変わりました。村井です」

歯切れのいい男性の声で一気に追憶から現実に引き戻される。

「お世話になっております。ポート・ユニバース・インターナショナルの成瀬ですが、本日10時のアポイントの件で、お電話させていただきました。はい、予定通りで.......。それでは、宜しくお願い致します」

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