真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
最終章
「もしもし、優花?」
「あ……、ジーク……」
「どうしたの?なんか、元気ないね」
「……そう?」
広務さんに別れを告げた直後のジークとの会話。
私は震える両手でスマホを握りしめていた。それ以前に、着信音が鳴り止まないスマホをバックから取り出すのさえ困難で、やっとの思いで通話ボタンをクリックした。
誰かと繋がりたい。あの時、私はそういう気持ちで、ジークからの電話に出た。
「オレ、今仕事終わったんだけど、優花、晩御飯は?まだなら一緒にどう?」
「……うん」
いつものパターンだった。
広務さんがニューヨークに旅立っている3ヶ月の間、彼に会えない胸の空虚を埋めていたもの、それが、ジークと過ごす安易な時間だった。
ジークは広務さんと違い、いつも私の近くに居てくれた。
広務さんから受けとる不安や葛藤をジークは全て吸収してくれて、想い悩むという思考を停止してくれる存在だった。
いつしか私の中でジークは、モルヒネのような役割を果たしていった。
真心や愛を考えることもせずに、私はただ過ぎていく時間の中で、ゆらゆらと楽に流されて行くことを選んだ。
「おまたせ」
電話を切って20分足らず、愛車を飛ばしてジークが私を迎えに来た。
彼が着いた場所は、ほんのついさっき、広務さんと私が別れたチェーン店のカフェ。
そんなことは露知らず。ジークは、軽い調子で私を助手席にエスコートした。
「さぁ、乗って。なに食べたい?」
……食欲なんて、全然ない。
「なんでもいいよ」
「……じゃあ、久しぶりに、あの店にしよう」
気持ちが全く噛み合わないデート。今夜も成り行き任せの夜は走り出す。
「あ……、ジーク……」
「どうしたの?なんか、元気ないね」
「……そう?」
広務さんに別れを告げた直後のジークとの会話。
私は震える両手でスマホを握りしめていた。それ以前に、着信音が鳴り止まないスマホをバックから取り出すのさえ困難で、やっとの思いで通話ボタンをクリックした。
誰かと繋がりたい。あの時、私はそういう気持ちで、ジークからの電話に出た。
「オレ、今仕事終わったんだけど、優花、晩御飯は?まだなら一緒にどう?」
「……うん」
いつものパターンだった。
広務さんがニューヨークに旅立っている3ヶ月の間、彼に会えない胸の空虚を埋めていたもの、それが、ジークと過ごす安易な時間だった。
ジークは広務さんと違い、いつも私の近くに居てくれた。
広務さんから受けとる不安や葛藤をジークは全て吸収してくれて、想い悩むという思考を停止してくれる存在だった。
いつしか私の中でジークは、モルヒネのような役割を果たしていった。
真心や愛を考えることもせずに、私はただ過ぎていく時間の中で、ゆらゆらと楽に流されて行くことを選んだ。
「おまたせ」
電話を切って20分足らず、愛車を飛ばしてジークが私を迎えに来た。
彼が着いた場所は、ほんのついさっき、広務さんと私が別れたチェーン店のカフェ。
そんなことは露知らず。ジークは、軽い調子で私を助手席にエスコートした。
「さぁ、乗って。なに食べたい?」
……食欲なんて、全然ない。
「なんでもいいよ」
「……じゃあ、久しぶりに、あの店にしよう」
気持ちが全く噛み合わないデート。今夜も成り行き任せの夜は走り出す。