真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「もしもしっ!」

私は下着を履くよりも、スキンケアよりも、髪を乾かすことよりも、広務さんからの電話に出ることを最優先した。

広務さんの声が聞きたいなんて思っていたら、まさか本当に彼から電話がかかってくるなんて......。

「あっ、もしもし。成瀬です。すみません夜分遅くに......。今、少しお話しても大丈夫ですか?」

「あっ!はいっ!あっ!すみません......っ!私、お風呂から上がったばかりで、まだ裸なんですっ!」

ーーやだっ!

何言ってんだろ私......。

彼からの電話が嬉しすぎて、つい口走ってしまった赤裸々すぎる実況中継。

「えっ!!はっ、はだ.......、風邪ひくといけないんで早く何か着てくださいっ」

広務さんの、この尋常じゃないテンパり具合。

やはり、彼は想像したんだろうか?

私の裸を。

もしそうだとしたら、”広務さんの下半身は今どういう状態ですか?”とは絶対に聞けないけど、......気になる。

「あの。優花さんさえ迷惑じゃなかったら、落ち着いた頃改めて電話してもいいですか?」

「迷惑だなんてそんな!!落ち着いたら、私お電話しますっ」

こんな変態の私と話をしたい男性なんて世界中どこを探しても、広務さんしかいない。

私、ますます彼を好きになってしまう。

ところで広務さんは、私に一体何のお話をするのだろう?

ーー花火大会デートのことかな?

でも、待ち合わせの場所と時間のことなら、わざわざ電話じゃなくてLINEでも......。

まさか.......。

キャンセルとか、お断りの電話じゃないよね!?


結婚相談所という所は交際が成立するまでは、何人も異性を紹介してもらえる。

広務さんほどの男性なら。ライバルが何人、いや、何十人いたっておかしくはない......。

< 27 / 315 >

この作品をシェア

pagetop