真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
広務さんとホテルのロビーで出くわしてから40分後ーーまんまと私は彼の愛車に乗り込んでた。
つくづく私って、往生際が悪いというか、なんて浅ましい女なんだろう。
一世一代の決断だった......はずの、今朝エレベーターの中でおこなった広務さんとの決別の儀。
それを見事に無効にして、ジークからのLINEも無下にして結局私は目の前の人参を選んだ愚かな馬だ。
どんなに必死に追いかけたって絶対に広務さんとは元に戻れないのに......。だって、彼には別の女(ひと)がいるんだよ。.......ねぇ?
「いいのかな? また私なんかが助手席に乗っちゃって......」
「優花と別れてからの2年間、助手席に女性を乗せたことは一度もないよ。だから、この場所はずっと君の特等席のままだったよ」
え!?
聞き捨てならないセリフをさらっと言われて、そんなのリップサービスに決まってる。って冷静になろうとするけど、やっぱりダメだ......。私、広務さんの前だと本当に馬みたいに猛進してしまう。
私は、それまで前を向いて駆け抜けていく大都会の景色を眺めていた。だけど、そんな余裕はすっかり消え失せて、今度は顔をクルっと彼の方へと向けた。
広務さんは自分の発言が、どんなに私の胸を高鳴らせて、それから締め付けたか、まるで分かってない様子で平静を保ちハンドルを握っていた。
彼の横顔は、2年前日本でドライブデートを楽しんでいた頃とは少し違って見えた。
額から鼻筋にかけてのメリハリのある凹凸は西洋人が多いここニューヨークでも劣らず、間違いなく美男子と言える。それから、まっすぐに前を見据える眼差しを放つ涼やかな二重瞼と艶めく濃密な睫毛。当時、ひたすらに魅力的だった彼の瞳は奥深さが増してニューヨークに来てからの2年間が、いかに過密な時間だったかを物語っていた。
「忙しすぎてデートする時間もないとか? 今日は貴重なお休みの日なのに、本当にごめんなさい......」
「どうして謝るの? 忙しすぎてって.......、ほら、今日だってちゃんと休み取れてるし。日本にいた頃よりずっと休めてるよ。デートする時間は十分あるけど、してないな」
つくづく私って、往生際が悪いというか、なんて浅ましい女なんだろう。
一世一代の決断だった......はずの、今朝エレベーターの中でおこなった広務さんとの決別の儀。
それを見事に無効にして、ジークからのLINEも無下にして結局私は目の前の人参を選んだ愚かな馬だ。
どんなに必死に追いかけたって絶対に広務さんとは元に戻れないのに......。だって、彼には別の女(ひと)がいるんだよ。.......ねぇ?
「いいのかな? また私なんかが助手席に乗っちゃって......」
「優花と別れてからの2年間、助手席に女性を乗せたことは一度もないよ。だから、この場所はずっと君の特等席のままだったよ」
え!?
聞き捨てならないセリフをさらっと言われて、そんなのリップサービスに決まってる。って冷静になろうとするけど、やっぱりダメだ......。私、広務さんの前だと本当に馬みたいに猛進してしまう。
私は、それまで前を向いて駆け抜けていく大都会の景色を眺めていた。だけど、そんな余裕はすっかり消え失せて、今度は顔をクルっと彼の方へと向けた。
広務さんは自分の発言が、どんなに私の胸を高鳴らせて、それから締め付けたか、まるで分かってない様子で平静を保ちハンドルを握っていた。
彼の横顔は、2年前日本でドライブデートを楽しんでいた頃とは少し違って見えた。
額から鼻筋にかけてのメリハリのある凹凸は西洋人が多いここニューヨークでも劣らず、間違いなく美男子と言える。それから、まっすぐに前を見据える眼差しを放つ涼やかな二重瞼と艶めく濃密な睫毛。当時、ひたすらに魅力的だった彼の瞳は奥深さが増してニューヨークに来てからの2年間が、いかに過密な時間だったかを物語っていた。
「忙しすぎてデートする時間もないとか? 今日は貴重なお休みの日なのに、本当にごめんなさい......」
「どうして謝るの? 忙しすぎてって.......、ほら、今日だってちゃんと休み取れてるし。日本にいた頃よりずっと休めてるよ。デートする時間は十分あるけど、してないな」