真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～

母は今ニューヨークにいる。

父に母のことを話さなかった私は独りで情報を抱え込み、同時にニューヨークには広務さんがいるという事実とも向き合わなければならなかった。

広務さんに会いに行く。

私は決めた。

だけど。いざ彼に会えたら何て言おうか……台詞は白紙だった。

「広務さんが好き……」

この気持ちを彼は受け止めてくれる？それとも......。

澄み渡る青空を見上げて微かに冬の匂いが残った風を吸い込みながらセンチメンタルなことを考えた。

不透明な未来を思うと、マイナスな考えに傾きがちなのは私の悪い癖。

陰気な思考を消し去りたくて周囲の景色に目を向けると、飛び込んできたのは今日の良き日を彩る青い芝生と純白のウェディングドレスとタキシードに身を包んだ幸せそうな新郎新婦だった。

私は日本で過ごす最後の日に実加と横澤さんの結婚式に出席していた。

雪どけの雫がほんのり残るガーデンウェディング。白昼の太陽が二人のこれからの未来を象徴するかのように輝いている。

快晴の空は遮るものが何もなく、降り注ぐ光線が眩しかった私は手のひらを額のあたりに翳しながら今日の主役のもとへ歩み寄った。

「おめでとう」

「ありがとう......」

たとえ自分がどんな状況であれ、幸せな二人を見るのは心が温まった。

それから、急激に広務さんが恋しくなった.....。

幸いにも明日の今頃は私も彼と同じニューヨークにいる。

そして、その場所には母も......。