真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
実加と横澤さんの結婚式がお開きとなり、私はその足で空港へと向かい夜便のニューヨーク行きの飛行機に乗った。

飛行機の窓から見える空は暗くて雲海が分からなかった。

今頃、実加と横澤さんは友人達に祝福されながら貸切のダイニングバーで二次会をしているはず。

もともと私も参加する予定だったけど、この日のニューヨーク行きの便は午前が2便と午後は1便、そしてこの夜便が最終便になるので、どうしても時間の調節ができずに二次会に参加出来なくなってしまった......。

そのことを申し訳ない気持ちいっぱいで実加に話すと、私の心情を知っている実加は自分が主役の結婚式にもかかわらず、むしろ背中を押してくれた。

「こっちのことは気にしないで。いつでも連絡待ってるから......!」

友達に見送られて日本を発った私は高度10000mの上空で着々と彼のいる街へと近づいていた。

ニューヨークまで後何時間?

空港に着いたら彼に電話する。

彼は私からの電話に出てくれる......?

いや、仕事かも......。

私がニューヨークに降り立ったところで、一筋縄には広務さんと会えそうもない......。

私は広務さんの仕事先も住んでる部屋も分からない......。

もし、広務さんに会えなかったら私はニューヨークで路頭に迷うことになる。

それとも、ジークが言ってた私の母が働いているというビルに行くーー?

夜空を進む飛行機の中で暗中模索した。広務さんに会いに行くとは決めてきたけど。母の所在を確かめることや、実際に母に会うことには迷っていた。

母が私に会いたがっていると人伝に言われても信憑性にかけた。

母は私を捨てて出て行った人。

幼心についた傷は深い......。

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