真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
自分が今、どうゆう状況に置かれているのか、私はしばらく理解できなかった。

広務さんが、約束を無断で放棄するような男(ひと)には到底思えなかったから。

それほどまでに私は彼を信じていた。

彼のことが好きだから......。


初めて会った時の優しい笑顔も、誠実で丁寧なLINEも、三日前にくれた電話で”優花さんの声が聞きたくて”と言ってくれたことも、全部偽りの広務さんだったの......??


偽り。

頭にその文字が浮かんだ時、私の頬を涙が伝った。

どうしよう......。

こんなに人が、いっぱいいる前で泣いちゃ恥ずかしい。

それに、せっかく綺麗にメイクしたのに台無し。

広務さんのために綺麗にしたのに......。

どうして、来ないの.......?

私、あなたに嫌われるようなことを、何かしてしまったのかな......。

周りの人に泣いていることを悟られないように、私は俯き汗を拭くフリをして、ハンカチでそっと涙をぬぐった。

本当はこのハンカチは、真夏の道を広務さんと一緒に歩いた時に、静かに汗を抑えるために買ったもの。

それが、まさか自分の涙をぬぐうために使うことになるなんて......。

私は悲しい現実に、どんどん追い詰められていった。

オシャレをして、この場所にいる自分の存在そのものがとても恥ずかしくなった。

砂嵐のようにザワザワと掻き乱された気持ちを抱え、私はこの場から立ち去ろうと重い右足を精一杯の力で一歩踏み出した。

その時だった。

「優花さんっ!」

一瞬、空耳かと思った。

後ろ背に聞こえたその声に、私は惹きつけられた。

それでも、今振り返れば泣いていたことが知られてしまう。

だから私は背を向けたまま俯いていた。

すると、やがて大きな手が私の両腕に優しく触れた。

「優花さん? どうしました? 俺の方を向いてください......」

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