真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～

「深い口づけ......」 ーー広務Ver.ーー

君に、もっと深い口づけをーー。
　
柔らかく瑞々しい彼女の唇に割入って、未知の領域へ濡れた舌先を忍ばせる。　
　　
言葉では伝えきれない想いを口づけに託して、彼女の深い部分へ届けよう。

男の欲望を夜の暗闇に隠して、優しい恋人の愛だけを注ぐ。　
　
そう、彼女と俺は恋人同士になった......。　　

彼女へ想いを打ち明けた時、心臓が激しく隆起と陥没を繰り返して、期待と不安が交互にやってきた。　

長い沈黙だった。　

俺は彼女の瞳から目を逸らさずに、彼女の胸の内へ語りかけていた。　

”君の事は、これからずっと俺が守り続けるから、どうか俺に心の鍵を預けて欲しい”　


夢の中で彼女が呟いた言葉。　

”お母さん......”

少女のように無垢な寝顔を歪ませて、彼女は微かに呟いた。

そんな彼女の様子に、俺は様々な憶測を巡らせてしまった......。

そして、透明な笑顔の下に眠る、忘れ得ぬ心の傷を垣間見た気がした。


君が噤んでいる過去の出来事を、深い口づけで導き出そう。

いや、それよりも。

君が、押し殺している想いを俺に委ねて。　

胸に秘めた思い出ごと。君をこの腕に強く抱いて、深く口づけて、何もかも忘れさせてあげる。