真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～
いけない。笑顔、笑顔。

私は彼に寂しい気持ちを悟られないようにと、思いっきり笑顔を振りまいた。

「なんでもないよっ！それより、広務さんお腹空いてるなら、ご飯食べに行こっ」

「俺は食べられるけど、優花は、お腹空いてるの？俺のために無理しなくていいんだよ？」

お腹はそんなに空いてないけど......、彼と落ち着ける場所には行きたい。

「無理なんてしてないよ」

「それなら、いいけど......。じゃあ、優花は何が食べたい？」

「う〜ん、広務さんの食べたいものが食べたい。それから......、個室がいいな」

「うん、俺も。優花と二人きりになれるから、個室がいい。」

彼はそう言って、私の手をギュッと握った。

相変わらず彼の手は大きくて温かくて、私に至上の安らぎを与えてくれた。

この温もりと安らぎを身体中で感じたい。

レストランじゃなくて、今すぐ彼の部屋へ行きたい。

こういう風に先を急いでしまうのは、”仕事が忙しい彼と、次はいつ会えるんだろう......？”という不安があるから。

それでも、そんな不安に耐えられるのは。彼が私へ告白してくれた時に言ってくれた、”結婚を前提に”の、言葉があるから。

確かな未来への約束がある限り、私は安心できる。

だから今は、今日彼と会えたことに素直に感謝して、限られた彼との時間を大切にしよう。

私は、心に棲んだ不安を追い出して、彼の手をギュッと握り返した。

そして、しっかりと手を繋いだ私達は、個室があるオシャレなレストランを探して、夕暮れに輝き始めたイルミネーションを眺めながら駅前を歩いた。

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