真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
広務さんは、いつも受け身な私が珍しく自分から何か改まったことを言おうとしている様子を、じっと私の目を見据えて待っていた。
そんな彼の表情は簡潔には、言い表せないものだった。
もともと二重まぶたで、くっきりとした瞳をより大きく見開いて、何か期待しているようにも見えたし、かと思えば唇の厚みと大きさのバランスが綺麗な上品な口元は、上唇と下唇がしっかりと結ばれていて身構えているようにも見えた。
「......どうしたの?言いたいことがあるなら、何でも言って」
本心を言い出せなくて口ごもっている私へ、彼は様子をうかがうように聞いてきた。
今日は、自分の家には帰りたくない。
"今日は、あなたの部屋へ行きたい"
「今日は......、今日は夕方からしか会えなかったから、来週はもっと早い時間から会いたいな」
これでも。勇気を出して精一杯甘えたつもり。
やっぱり、自分から「抱いて」とは言えなかった。言いたくなかった。
私は、彼の方から求められたい。必要とされたい。
愛されてるって実感したいーー。
「優花......、ごめん。もっと早く言えばよかったね。俺、来週の月曜から再来週の金曜までニューヨークへ出張なんだ」
広務さんは一語一句、丁寧に言葉を選ぶと、とても悪びれながら私へ伝えた。
結局。私の決死の甘えは、どうすることもできない状況下に虚しくも潰れて、寂れた欲求の残り火が胸をじりじりと焦がした。
「今回の出張の件は、実は今日急遽決まったことで。本当は別の社員が行く予定だったんだけど、昨日その人のお祖父さんが亡くなって......、それで俺が代理で行くことになったんだ」
「そっか......、大変だったんだね」
我慢しなきゃ。
私は二週間も彼に会えないという寂しさを懸命に封じて、彼の立場と気持ちに寄り添おうと必死になった。
「突然決まったことなら、まだ荷物の準備もできてないよね?体調も整えなきゃいけないし。......今日は早く帰って、ゆっくり休まないとだね」
彼に寂しさを悟られないように。私は、できる限り自然な笑顔を意識して、胸のザワつきを隠しながら極めて落ち着いた口調で話した。
「うん、今日は早く帰るよ。でも、それは優花も一緒に俺の部屋へ帰るなら。......会えない二週間分の、キスがしたい」
そんな彼の表情は簡潔には、言い表せないものだった。
もともと二重まぶたで、くっきりとした瞳をより大きく見開いて、何か期待しているようにも見えたし、かと思えば唇の厚みと大きさのバランスが綺麗な上品な口元は、上唇と下唇がしっかりと結ばれていて身構えているようにも見えた。
「......どうしたの?言いたいことがあるなら、何でも言って」
本心を言い出せなくて口ごもっている私へ、彼は様子をうかがうように聞いてきた。
今日は、自分の家には帰りたくない。
"今日は、あなたの部屋へ行きたい"
「今日は......、今日は夕方からしか会えなかったから、来週はもっと早い時間から会いたいな」
これでも。勇気を出して精一杯甘えたつもり。
やっぱり、自分から「抱いて」とは言えなかった。言いたくなかった。
私は、彼の方から求められたい。必要とされたい。
愛されてるって実感したいーー。
「優花......、ごめん。もっと早く言えばよかったね。俺、来週の月曜から再来週の金曜までニューヨークへ出張なんだ」
広務さんは一語一句、丁寧に言葉を選ぶと、とても悪びれながら私へ伝えた。
結局。私の決死の甘えは、どうすることもできない状況下に虚しくも潰れて、寂れた欲求の残り火が胸をじりじりと焦がした。
「今回の出張の件は、実は今日急遽決まったことで。本当は別の社員が行く予定だったんだけど、昨日その人のお祖父さんが亡くなって......、それで俺が代理で行くことになったんだ」
「そっか......、大変だったんだね」
我慢しなきゃ。
私は二週間も彼に会えないという寂しさを懸命に封じて、彼の立場と気持ちに寄り添おうと必死になった。
「突然決まったことなら、まだ荷物の準備もできてないよね?体調も整えなきゃいけないし。......今日は早く帰って、ゆっくり休まないとだね」
彼に寂しさを悟られないように。私は、できる限り自然な笑顔を意識して、胸のザワつきを隠しながら極めて落ち着いた口調で話した。
「うん、今日は早く帰るよ。でも、それは優花も一緒に俺の部屋へ帰るなら。......会えない二週間分の、キスがしたい」