真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
例のアレを買うために......。というわけではないけど、彼の家へ行く途中に立ち寄ったコンビニ。

店の自動ドアが開く間際まで、私達は仲良く手を繋いで入口の前に並んで立った。

入店した後は、それぞれ目的のものを買うために別々に店内を物色した。

「買うもの決まったら、このカゴの中に入れて」

「うん」

私は彼に言われた通り、買いたいものを彼が持っているカゴの中へ入れた。

私がカゴの中に入れたものは、全てお泊まりグッズ。

それにしても。いくら暗黙の了解の今夜だからって、こんなに、お泊まりグッズがカゴの中にどっさり入ってたら、さすがに彼は引きはしないだろうか? 

さっき、あんなに。私は自分で、恋は情緒が必要不可欠って言ったくせに。これだけ、あからさまに、お泊まり準備を彼に見せてしまうなんて全く私は、なんて情緒のかけらもない女なんだろう。

今回ばかりは、彼と会計を別々にすれば良かった......。

彼がカゴの中に入れたものといえば。雑誌にコーヒーフィルター、ブロックアイスと、いたって日常的なものばかり。

ーーてか、彼ったら。例のアレは買わないのかな......?

それもいいかも。

結婚を前提としたお付き合いなら、順序逆は大歓迎。

広務さんは30代だし、私もアラサー。

子供は早いほうがいい。

広務さんと私の赤ちゃんーー。

どんな子かな?

いつ会えるのかな?

早く会いたいな。

......でも、

私は、きっといい母親にはなれない。

だって、私は母親の愛情というものを知らないから。
 
どうせ、私は実の母親に捨てられたから子だから。

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