真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
”プレミアムフライデー”

その呼び名に相応しく。今日は、広務さんが日本へ帰国する特別な金曜日。

私は今。自分が、お茶汲みOLで心底良かったと思っている。

なぜなら。特段仕事をかかえていない私は、今日は3時に退社できる。

「お先に失礼しますっ!」

上司や先輩方が、プレミアムフライデーとは無関係に3時を過ぎても仕事をしている中で、私は同期の実加と一緒に声を揃えて挨拶をすると、そそくさとオフィスを後にした。

お相手は違えど、私達のアフター3の予定は同じ。

愛する男(ひと)とのデートーー。

「優花ってば、二週間ぶりの彼との再会で、今夜は燃えるんじゃな〜いっ!?」

「実加も、横澤さんが仕事終わるまでの間に、ムダ毛処理して勝負下着に着替えとくんでしょっ!?今夜は、お互い女性ホルモン大放出だねっ!!」

完全に。今夜、抱かれる気満々な私達は、ハイテンションで会社の正面玄関を出ると、それぞれのダーリンを迎えるために大至急家路に着いた。

広務さんを乗せた飛行機が、空港に到着するのは午後6時。

三時間の間に家へ帰って、私も実加と同様にムダ毛の処理をして、この日のために新しく買った勝負下着をつけて、さらにデート用のワンピースに着替えて彼を空港まで迎えに行く。

時計を気にしなければいけないけれど、時計を気にしている時間さえ惜しい。

私は豪速級で、ムダ毛の処理をして着替えると、デート準備の最終工程である、メイクまで辿り着いた。

ーー今、何時?

さっきスマホで時間を確認したら4時40分だったけど......、

5時20分には出なきゃ!

でも、さすがに。メイクまで豪速級にしてはいけない。

入念に。

何しろ二週間ぶりに彼と会うんだから最高に、かわいくしたい。

私は時間を気にしながらも、時間を確認する時間さえ惜しんで、その分丹念にメイクをしていた。

よしっ、後は限定色のリップカラーで仕上げて完成ーー。

ようやくメイクが完成して、鏡に映る自分へOKサインを出したその時、

”ピンポーン”

部屋に、来訪者を告げるチャイムの音が響いた。

< 77 / 315 >

この作品をシェア

pagetop