真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「ジーク!」
こんなに声が大きくなってしまったのは、内心、広務さんだと期待していた予想が外れたから。
彼を乗せた飛行機は、まだ雲の上だと分かりきっているにもかかわらず。それでも、彼が私に会いたい余りに、一つ早い便で帰って来てくれたのかと、おめでたい妄想を膨らませてしまうのが彼女心というもの。
「やぁ、優花。突然ごめんね。今日も、とてもcharmingだね。そのone pieceよく似合ってるよ。これから、どこかへ出掛けるの?」
ジークは訪ねて来た身でありながら、デート仕様の私の格好を見るなり自分の要件は言わずに、逆に質問をしてきた。
「これから彼とデートなの。ところで、ジーク一体どうしたの?」
「dateって、アイツと......?」
「アイツ??」
「浮気者......」
「浮気者!?」
「......あっ、いや。あの......、あっ、そうだ。優花宛のdirect mailが、オレのpostに間違って入ってたから持ってきたんだよ」
今まで散々、自分のペースで話を進めていたジークが途端にペースを乱した挙句、慌てて話題を変えたのは、私に対して相当マズイ発言をしたから。
”浮気者”
私の鼓膜に、こびりついた、この聞き捨てならない呼び名。
でも、広務さんには絶対に当てはまらないーー。
もしかして、ジーク日本語の意味間違えて覚えてる?
心の中で「どうなの?」と、ジークへ問いかけて訝しげな眼差しを彼へ向けていると、部屋の奥からスマホが爆音の着信音で、電話が掛かってきたことを知らせた。
今度こそ、きっと。広務さんが連絡してきたんだーー!
「ごめんっ、ジーク。私、彼が待ってるから!」
「行かせたくないな......」
こんな時に。胸キュン系のアメリカンジョークは、やめてっ。と、思ったのも束の間。ジークの瞳は、とても冗談とは思えないような真剣な瞳で私を見つめていた。
いつも三日月型を描いて、陽気な笑顔をたたえているジークの瞳が半月型をしているのを私は、この時初めて見た。正円で碧い彼の虹彩は、まるで宇宙から見た地球の様に美しく、私に時間を忘れさせて、愛する男(ひと)の存在さえも霞ませた。
元好きな男(ひと)の真摯な眼差しに迂闊にも魅了されてしまった私は、広務さんという本命の彼氏がいながら、一瞬心臓が飛び跳ねた。しかし、爆音の着信音により、すぐさま現実に引き戻されて......。
「ごめんなさい、ジーク。私、本当にもう行かなくちゃ.......。ハガキ、わざわざありがとう。それじゃあ......またね」
「......うん、またね。優花」
まるで今生の別れ、とでも言うような名残惜しそうなジークの視線をどうにか振り切り、私は広務さんを迎えに空港へと向かった。
こんなに声が大きくなってしまったのは、内心、広務さんだと期待していた予想が外れたから。
彼を乗せた飛行機は、まだ雲の上だと分かりきっているにもかかわらず。それでも、彼が私に会いたい余りに、一つ早い便で帰って来てくれたのかと、おめでたい妄想を膨らませてしまうのが彼女心というもの。
「やぁ、優花。突然ごめんね。今日も、とてもcharmingだね。そのone pieceよく似合ってるよ。これから、どこかへ出掛けるの?」
ジークは訪ねて来た身でありながら、デート仕様の私の格好を見るなり自分の要件は言わずに、逆に質問をしてきた。
「これから彼とデートなの。ところで、ジーク一体どうしたの?」
「dateって、アイツと......?」
「アイツ??」
「浮気者......」
「浮気者!?」
「......あっ、いや。あの......、あっ、そうだ。優花宛のdirect mailが、オレのpostに間違って入ってたから持ってきたんだよ」
今まで散々、自分のペースで話を進めていたジークが途端にペースを乱した挙句、慌てて話題を変えたのは、私に対して相当マズイ発言をしたから。
”浮気者”
私の鼓膜に、こびりついた、この聞き捨てならない呼び名。
でも、広務さんには絶対に当てはまらないーー。
もしかして、ジーク日本語の意味間違えて覚えてる?
心の中で「どうなの?」と、ジークへ問いかけて訝しげな眼差しを彼へ向けていると、部屋の奥からスマホが爆音の着信音で、電話が掛かってきたことを知らせた。
今度こそ、きっと。広務さんが連絡してきたんだーー!
「ごめんっ、ジーク。私、彼が待ってるから!」
「行かせたくないな......」
こんな時に。胸キュン系のアメリカンジョークは、やめてっ。と、思ったのも束の間。ジークの瞳は、とても冗談とは思えないような真剣な瞳で私を見つめていた。
いつも三日月型を描いて、陽気な笑顔をたたえているジークの瞳が半月型をしているのを私は、この時初めて見た。正円で碧い彼の虹彩は、まるで宇宙から見た地球の様に美しく、私に時間を忘れさせて、愛する男(ひと)の存在さえも霞ませた。
元好きな男(ひと)の真摯な眼差しに迂闊にも魅了されてしまった私は、広務さんという本命の彼氏がいながら、一瞬心臓が飛び跳ねた。しかし、爆音の着信音により、すぐさま現実に引き戻されて......。
「ごめんなさい、ジーク。私、本当にもう行かなくちゃ.......。ハガキ、わざわざありがとう。それじゃあ......またね」
「......うん、またね。優花」
まるで今生の別れ、とでも言うような名残惜しそうなジークの視線をどうにか振り切り、私は広務さんを迎えに空港へと向かった。