真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～
空港に向かうタクシーの窓から望む初秋の夕焼けは、燃えるように赤く情熱的な色をしていた。

会いたい。会いたい。広務さんに、早く会いたいーー。
　　
私は深紅に染まった大空に向けて、彼への迸る情熱を胸の中で叫びながら、早く夕日が沈んで夜が訪れるのを心待ちにしていた。

さっきジークに私の心臓が一瞬だけ飛び跳ねたのは、たぶん不整脈か何かのせいで、決して感情的なものではなく、身体的な誤作動に違いない。

やはり、私が恋心を揺さぶられる男性は広務さんしかいないーー。

スマホに残る着信履歴、『成瀬 広務』の文字を愛しげに見つめながら私は改めて自覚した。

ジークと玄関先で話している最中に私へ電話を掛けてきたのは、予想通り広務さんだった。

だけど、彼からの電話は私が出る前に切れてしまった。

私はすぐに、電話をかけ直したが彼は電話に出なかった。

彼が私へ電話をしてきた時間は５時１０分。

もしかして広務さんは、最初に私が予想した通り。予定よりも早い飛行機で日本へ帰ってきたのかもしれない。

そして、私が電話をかけ直した時、彼は既に私のもとへ向けて移動を始めていたため、スマホが鳴っていることに気がつかなかったのかもしれない。

だとすれば、今の状況は非常にまずい。

今、彼と私は、すれ違っている......。

早く連絡をとって合流しなければーー！

私は彼と連絡がつくことを切に祈りながら、発信画面に指先を添えた。

タップするため勢いよく指先を振り翳した瞬間、突如画面が切り替わり『成瀬 広務』の文字が威風堂々と表示された。

「広務さんっ！」

私は嬉しさのあまり電話での挨拶を忘れて、恋しい気持ちのままに彼の名前を叫んだ。

「もしもし、優花？」

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