真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ～
「広務さん、今どこ？　電話出来るってことは、もう日本に居るってことだよね？　私は今、空港に向かってるタクシーの中だよ。このまま向かっても大丈夫？　それともどこかで待ち合わせする？　場所決めてもらえれば、これからタクシーでそこへ向かうよ」

「優花......」

捲し立てるように尋問する私へ、彼は低い声で私の名前を呼んだきり、口を噤んだ。

彼も私との再会を待ちわびているはず。それなのに、喜びとは程遠い、この暗く沈んだ反応は一体どうして？

「広務さん？」

彼と私の間に流れる異様な温度差に不安を覚えた私は声を萎ませて彼へ呼びかけた。

「......ごめん」

「え？」

「俺......、出張が延びて、月曜に帰国することになったんだ。本当に、ごめん......」

「......」

「優花、愛してるよ」

聞き分けのない駄々っ子を宥めるように、彼が私へ投げた6文字の言葉は、とても安っぽく聞こえて寂しさを増幅させた。

「月曜日、日本に帰国したら真っ先に、優花に会いに行くから......！」

「うん。......待ってる。お仕事頑張ってね。それじゃ......」

聞き分けの良い恋人を演じて、私は自分の方から電話を切った。

これ以上話したら私は幼児返りをして、彼に醜態を晒してしまうと思った。

理性で判断することは正しい。

それでも。彼に会いたいという、頭ではどうすることもできない感情が勝ってしまう私は、一時でも寂しさを忘れるために、空港に向かうはずだったタクシーを翻して最寄りのバーへ向かった。

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