真心の愛を君に......。 〜 運命の恋は結婚相談所で ~
「……もしもし」

「ごめん。寝てたかな?」

「......広務さん」

「うん」

「ねぇ、広務さん......」

「なに?」

「私の事、愛してる......?」

「うん、愛してる」

夢現に繋がった電話から聞こえてきた声は、恋しい待ち人の優しい声だった。

特別な要件は何も無い彼からの電話で、私が受け取ったメッセージは血の通った愛情だった。

時間も場所も曖昧な意識の中で、深い安堵感に包まれた私は再び眠りに落ちた。


スマホのアラームが鳴らない、今朝の目覚めに違和感を感じて私は枕元を探った。

いつも寝る前には目覚ましをセットしているのに、どうして今朝は鳴らなかったんだろう?

私は寝ぼけまなこをこすりながら、枕元に置いてあるスマホを手に取った。

そっか。今日は土曜日で会社が休みだからだ。

どうりで。平日指定のアラームは鳴らないわけだ。

アラームに起こされずに、自然と目覚めた時刻は11時半。休日と言えども、さすがにもう起きる時間だ。

「おはよう」

突然、起き抜けの鈍い頭に響いた声で、私の意識は一気に覚醒した。

「ジーク!」

とても寝起きとは思えない俊敏さで、私は声がした方向に目を向けた。すると、そこには黒いTシャツに薄手のスウェット姿という、初めて見るリラックスな格好をしたジークがベッドの端に腰掛けていた。

「どうしてジークが、ここにいるのっ!?」

「どうしてって......、ここはオレの部屋だよ」

「はっ!?」

驚愕する私をジークは不敵な笑みで見つめた。

「昨夜の事、何も覚えてないの?」

「......うん」

「優花は、もうオレのものだよ。何しろ昨夜、既成事実が出来たから」

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