愛人
「それが顔に出ていたみたいで、あの人と目が合ったら、いきなり頬を叩かれたわ『何、笑っているのよ‼︎』って、凄い剣幕でね」
「その話は止めろ、反吐が出そうだ」
「ああ、ごめんなさい。あの女の話は嫌よね?」
「…ああ」

本当は妻が女に侮辱されるのが嫌だったのだが、その言葉を飲み込み誤魔化す。本当の事を言うと、女は汚い言葉で妻を罵るはずだ。
正直、女とは遊びだった。会社の飲み会で酔った女を介抱した際、誘ってきた女に応じただけだ。身体の相性が良かったので、そのままズルズルと関係を続けていた。そんな事を繰り返していると、妻が私の浮気に気づいた。時折、私に纏う微かな甘い香水を不審に思い、スマホの履歴から私と女の関係に気づいた。
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