愛人
妻は証拠を突きつけて、淡々と告げた。

「私と別れる?その女と縁を切る?」

冷え冷えとした妻の瞳が今でも忘れられない。妻との間に出来た、6歳になったばかりの娘の事を考えて私は女と縁を切る事にした。私が女と別れを切り出すと、女は素直に了承してくれた。最後に前にクリーニングしたスーツを渡され、これを着て出勤して欲しいと言われた。微かに女の香りが残るスーツを着る気は無かったが、最後の頼みとして着る事にした。
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