【短編】マイ・ファニー・バレンタイン・デイ
「う、んと、なるべく、頑張って見ないようにはしたんだけど、その……下着のつけ方がむずくって……ホックが……」

「そんなぁ……」

死んじゃう死んじゃう死んじゃう


「ゴメン……でもお互いこの状況だろ、ごめんって」


二宮君の姿で泣き崩れるあたしを、あたしの姿の二宮君が支えて、慰めてくれてる。

……そうなんだよね、これは不可抗力だよね。
逆にブラのつけ方が上手な二宮君もなんか嫌だよ。

「……うん、あたしこそごめん、あたしもいろいろ間違えたし、ごめんね」

朝お母さんに心配されちゃったこととか、授業でうっかり訳しちゃったこととか、ね。
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