世界が思いどおりになったら1幕「覚醒」

2 悪党

ここの所テレビでは
連日現役の農水大臣の
スキャンダルを鬼の首
でも捕ったように報道
していた

彼は普段から素行が悪く
マスコミからも嫌われていた

さすがに取材じんに暴力こそ
ふるう事は無かったが

手でカメラをふさいだり
怒鳴り散らすなど
当たり前だった

当然方々で恨みを買っていた

そんな彼のスキャンダルだ
新聞、週刊誌、テレビは
もとより野党もこぞって
責め立てた

最初は小さな事だった
彼の政治団体の提出した
領収書の数字のゼロが
後から書かれたものだと
いうのだ

しかし彼の普段の素行から
それだけのはずが無いと
いう事で、恨みを
買っていた事もあり

関係各所は寝食忘れて
取材した

その結果出るわ出るわ
領収書の改ざんは当たり前

私設秘書の給与詐欺
事務所経費の水増し

政治献金の未報告
地元での票買い

しまいには愛人
が出てきて恥ずかしい
性癖まで暴露されるしまつ
その愛人は党が用意したマンション
に住ませていたと言うから開いた口
がふさがらない

誰もが大臣辞任どころか
政治生命も終わりと思った

しかし彼は会見でも
のらりくらり、正当だと
言い続け大臣の椅子に
座り続けた

「しかし悪党ね、政治家ってこんなのばっかり」

ママが呆れたように言った

「ああ、悪党だ、私が神ならこんなの許さないな」

自分の環境と比べた事も
あってほんとに頭にきた

こんなに一所懸命働いてるのに
全然暮らしがよくならない

なのにこいつらときたら
国民の税金でやりたいほうだいだ

「パパが神ならどーする?」

「うーん大臣辞職くらいじゃ勘弁できないな、不治の病にでもかかって貰ってすごい苦しんだあと死んで貰うとか、死んだ方がましだってくらい苦しんで自ら死んでもらうとか・・」

「ずいぶん過激ね」

「まーね、思うだけだからね」

「そうね」











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