世界が思いどおりになったら1幕「覚醒」
”歌謡曲やれば必ず売れるよ、がんばれ”

「内田さーん」

私は呼ばれて、印鑑を持参して呼ばれた方に歩いていった

呼ばれた先には事務の雪チャンが座っていた

「これバイト代です、ご苦労様でした。印鑑おねがいします」

事務的な口調で、雪ちゃんこと島田雪が言った。もう少しニコニコすれば、まだ見られるにの

よけいな事は私は思った


「あの雪ちゃん、話があるんだけど少しいいかな?」

ちらっと顔を見て

「いいですよ、じゃ会議室に行きましょう」

会議室と言っても仮眠室けん会議室けん談話室だった

「あのね、雪ちゃん言いづらいんだけど、その、仕事もっと無いかな・・・いや出来れば毎日働きたいんだけど・・・」

彼女はじーと私の目を
見つめてきた、思いのほか綺麗な目だった

しかしなんか恥ずかしくて目を彼女から外してしまった
そのタイミングで彼女が


「お子さんの遠征費のお金足りないんですか?」

「えっ」

なんで彼女がそんな事知ってるんだ

「安君から聞きました」

いい奴なんだが口が軽い

「うん、それだけじゃ無いんだけどね・・・・」

私はちょっとうろたえた別にやましい事はないのだが

「なんでもやるとおっしゃるなら大丈夫だと思います」

「ほんと、助かるよありがとう」

体の調子もいいし毎日バイトできると助かる

「内田さんってソフト屋さんなんでしょ?」

「うん、今は仕事あまり無いけどね」

「じゃ経理のシステムとか売り上げとか事務で使うシステムなんか作れますか?」

「そのあたりのソフトは基本設計が決まってるし、あまり難しくないよ」

おかしな事聞くなと思いながら、雪ちゃんに感謝しつつその日は帰った



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