世界が思いどおりになったら1幕「覚醒」
ピピピ ピピピ ピピピ

目覚ましの音で目が覚めた今日はバイトがある日だ

昨日の事がなんとなく気まずいがバイトを休む訳にはいかなった

車のエンジンをかけて港へ走り出した

あの日以来絶好調の愛車だった

港へ着くと安が漁船から小アジを市場の水槽へ移していた

「おーーい内田さーーん、今日競り終わったら話あんだよ、すぐ帰らず待っていてくれよな」

それだけ言うと安はまた仕事に戻った

今日は捌きをやった

競りには漁協の許可が無いと参加できないので漁協と市と小売店が協力して第三セクターで、お魚市場なる物を作った

競りには出せないが見栄えが良い魚を格安で売る場所だ

三枚に魚をおろせない主婦も沢山いるので三枚におろした魚も売ったそのための捌きだった

競りも終わり後かたづけをしてゴミを仕分けて持ち帰る分を確保する

気がつくと7時半を回っていたそろそろ組合の事務方の出勤時間だ

安が話しが有ると言うのでたまり場の自販機の前で待つことにした

何気なく安のまねをしてコイン投入口のわきをこんと軽くたたいた

今まで何度もためしたが一度も成功したことは無かった

しかし、パパパッとランプがつき自販機が購入可能な状態になった

「くすくす」

笑い声が聞こえた後ろには雪が立って笑っていた

「いやこれはその」

しどろもどろになる私に

「安くんのまねでしょ、彼いがい、だれも成功した事ないのに内田さんついてるわね」

彼女はほほえんでいた、昨日の雪は別人なのかな今日もやはり地味なかっこの雪が立っていた、でもなんかいつもと違うような・・・








 



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