私の熱をクールに冷まして
チョコレートホリック

「お大事に」

とある小さな町の、小さな内科医院。
スタッフは受付二名、看護師二名と先生だけ。それでも朝から夜まで忙しい。特に、今の季節はインフルエンザや風邪などで混み合う。

午前診療の最後の患者さんを見送ると、もう十三時を過ぎていた。

「お昼、行きますか!」

院内でいちばん若い私が、明るい声で言った。無口でクールな先生と、お母さんのような看護師。受付は、三十代のお姉さん方。みなさん落ち着いているので、まだまだひよっこ看護師の私がムードメーカー役だ。

「ちぃちゃん、元気ね」

「ナントカは風邪ひかないからな」

お母さん看護師の隣で、普段は無口でクールな先生が、ポツリとイヤミを言った。

「はい、そうですね!」

先生のイヤミも腹が立たない。むしろ、うれしかったりする。別にMっ気はない。ただ、四十代で大人の色気をまとった先生のことが好きなだけ。……なんて、絶対に言えない。
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