私の熱をクールに冷まして
いつも先生のすぐそばにいるのに、遠い存在に感じていた。
「お疲れ様でした」
診療時間が終わり、スタッフが仕事を終えて帰って行く中、気づけば院内は、私と先生だけになっていた。
「今いるのは、ちぃちゃんだけか?」
イスに座り、うーんと伸びをしながら、私に話しかけてくれた先生。初めて『ちぃちゃん』と呼んでくれた。
「は、はいっ!」
「食べる?」
先生は、机の引き出しに忍ばせてあったチョコレートを私に差し出した。
「ありがとうございます」
チョコレートを渡す前に、チョコレートをもらうだなんて……。緊張で震える指で、チョコレートをつまんだ。
「チョコレート、好きなんですか?」
「大好きだ」
わかっている。私じゃなくて、チョコレートのこと……って。でも、少しはにかみながら、私の目を見てそんなふうに言うから。
「私も、大好きです!」
勘違いついでに、身体を直角に曲げながら小さな紙袋を差し出した。
「チョコレート? それとも、オレ?」
まさかのひと言に、ガバッと顔をあげた。先生は、相変わらずのクールフェイスで私を見ていた。
「……後者の方、です」
「病気だな。熱は?」
嘘か本気か、先生は話を続ける。
「かなりの高熱です」
そう答えるとグッと引き寄せられ、強引に唇を奪われた。
「荒療治だ」
先生の『荒療治』のおかげで、私の熱はますますあがった。
「お疲れ様でした」
診療時間が終わり、スタッフが仕事を終えて帰って行く中、気づけば院内は、私と先生だけになっていた。
「今いるのは、ちぃちゃんだけか?」
イスに座り、うーんと伸びをしながら、私に話しかけてくれた先生。初めて『ちぃちゃん』と呼んでくれた。
「は、はいっ!」
「食べる?」
先生は、机の引き出しに忍ばせてあったチョコレートを私に差し出した。
「ありがとうございます」
チョコレートを渡す前に、チョコレートをもらうだなんて……。緊張で震える指で、チョコレートをつまんだ。
「チョコレート、好きなんですか?」
「大好きだ」
わかっている。私じゃなくて、チョコレートのこと……って。でも、少しはにかみながら、私の目を見てそんなふうに言うから。
「私も、大好きです!」
勘違いついでに、身体を直角に曲げながら小さな紙袋を差し出した。
「チョコレート? それとも、オレ?」
まさかのひと言に、ガバッと顔をあげた。先生は、相変わらずのクールフェイスで私を見ていた。
「……後者の方、です」
「病気だな。熱は?」
嘘か本気か、先生は話を続ける。
「かなりの高熱です」
そう答えるとグッと引き寄せられ、強引に唇を奪われた。
「荒療治だ」
先生の『荒療治』のおかげで、私の熱はますますあがった。