終わりで始まる進化論~第一部~
「だから、誤解しないで。俺は、その、女の子が好……」
その瞬間頭に星が舞った。こめかみよりも後頭部に熱を持ちナツキは頭を抱えて布団に突っ伏す。
シノミヤに殴られたのだと理解するまでにも暫く時間がかかった。
「気色悪い事言ってんじゃねえよ!とにかく、お前は寝てろ!頭痛が治ってねえんだろうが」
そもそも悪化させている人間に言われたくはない。ナツキは容赦ない殴打により受けた衝撃で涙目になりながら、心中では何度もシノミヤを呪った。
釘を指すように視線で無言の圧力を送り込み、シノミヤは保健室を後にする。逃れるタイミングを完全に失ったことに、ナツキは嘆息したのだった。
「それにしても、暇なんだよなあ」
シノミヤも何故あんなに必死に引き留めたのだろう?
本人が戻りたいとする主張を、専門医や保健の先生ならともかく、一生徒のクラスメイトにことごとく却下されなければいけないのか。
考えれば考えるほどにシノミヤの横暴ぶりに苛立ちを覚える。