終わりで始まる進化論~第一部~
「この間のこのガキの学校の事件じゃが、わしはそろそろ隠し通すのも無理があると思うてな。今回のマスコミに嗅ぎつけられた件はどうにか揉み消すことが出来たものの、あの学校の被害者は一体何人おると思うとる?被害者が多い程に揉み消すのは難儀じゃと分かっとるじゃろう。お前のバックにおるお偉いジジイ共はそんな簡単な事も分からんのかのう?」
ナツキのトラウマでもあり、この本部のメンバーとの出会いともなった学校での大量のシェルズ・コアの侵食事件。ナツキは現在自我を保てているものの、彼以外の生徒は皆助からなかった。
だが、ナツキには疑問もある。
「あの学校の事件で、どうして皆をハーフタイプにしようとは考えなかったんですか?俺に今選択肢があるなら、俺の友人だってあったはずでしょう」
リスクは伴うものの、戦力にも成り得るし何より命が助かる方法をどうして羽柴やシノミヤは選ばなかったのか?
小さくため息をこぼした後に羽柴は口を開いた。
「まず、ナツキ君には悪いですが、あの事件でハーフタイプを作ることなんてほとんど不可能です。被害者は今までの比ではない。ハーフタイプを作るには一つのシェルズ・コアを作り経過観察をしていくのに、どれだけの時間と労力が必要となるのか、本部の人間の極僅かでの任務ではヒトとして生き残っている人間がどれだけ居るのかを把握するのにもあの事件はやっとでした」