終わりで始まる進化論~第一部~
豪快に笑いながら事務処理一切を拒絶するバジルには、ナツキも苦笑を返すことしか出来ない。
だが、やはりさっきの羽柴たちの会話はナツキの中で引っ掛かっていた。
羽柴もシノミヤも、シェルズ・コア侵食事件以降その話題を出すことはほとんど無い。
ナツキは勝手に気遣われているのだと思っていたが、二人はもっと別の意図があってナツキにあの事件の事を語らないのではないかと思い始めた。
「それで、坊主の事は置いておくとして、あの男の捜索の方はどうなんじゃ?わしら西部には、未だ何の連絡も無いわい。薄情な奴よのう」
「我々本格的に捜索したいのですが、第二形態人種や侵食事件などで手が回らない状況です。アリス君達の方も音沙汰なしの様ですし、北部と南部からも何の連絡も来ていません」
「羽柴さん……誰の事を言ってるんですか?」