終わりで始まる進化論~第一部~
正体
その日の夜は中々寝付くことが出来なかった。あの事件で巻き込まてからは、それなりにナツキ自身居場所を築いてきたつもりだったが、もしかしたらあの日から何も変わっていないのかもしれない。
「考えるのはやめよう!何も始まらないし」
気持ちを切り替えようと明かりを消して布団の中に深く潜り込んだ。
時計の秒針の音が普段より大きく聞こえる中で、ナツキに漸く眠気がきていた。
きっと静かにしていれば自然と落ちていく。
淡い意識の中で少し背中が寒くなった気がする。
気のせいかとナツキは寝返ろうとしたものの、何か背中に気配がするのが分かった。
気配と言うよりも背中に柔らかな感触が押し付けられているのである。
「え……」
気づいてしまってからは再び目が冴えてしまった。心臓が高鳴り始めて頭の中はパニックに近い。
ナツキはその感触は覚えがあった。以前に布団の中に入り込んでいた女の子特有の柔らかさ。