終わりで始まる進化論~第一部~
保健室の扉を開けた途端に、今まで微塵も感じていなかった腐臭が立ち込めてきた。
暴動行為でもあったのか、廊下には黄色い液体が四散している。
「これは……!」
甦ってくる夢のストーリーと、この液体の色が重なってしまう。
自分自身を壊し跡形もなく溶かし尽くされた卵液と似た物質。
もし夢の中と同じならば、この液体に触れるのはまずい。
ナツキは警戒心から、それらを避けるように廊下を進んでいく。
「ぎゃああああああ!」
断末魔の叫びの様な悲痛な声が聞こえ、ナツキは天井を見上げた。
上の階からだ。二階はナツキ達、二年の教室が並んでいる。
もしかしたら、生徒に何かあったのかもしれない。ナツキは廊下を蹴って二階へと駆け出していた。